吉本騒動唯一の光は
世界じゅうどこを見ても、日本ほどこんなにもお笑いに成熟している国はないのではないでしょうか。
学生時代、友人の外国人(アメリカ人)が言っていたのですが、「日本の笑いはクオリティが高い。日本人と言えば、生真面目なイメージで笑いには縁遠いと思っていたが違っていた」と。
当時のバラエティ番組は、それこそ「ごっつええ感じ」と「元気が出るテレビ」が日曜8時バラエティ戦争を繰り広げていて、翌朝の学校では、まだビデオがそこまで普及していなかったこともあり、ごっつと元気が出る、どっち見た?とごっつ派と元気派に分かれていたものです。
ごっつ派の言い分は「とにかく面白い」、元気派の言い分は「面白さに加えて感動もある」。
つくづく当時、録画ができる機器がなかったことが悔しくて仕方ないです。
もし、当時のお笑いを絶賛していた、私の友人のアメリカ人が、今の日本のバラエティを見たらどう思うのか、怖いながらも聞いてみたいものです。
さて、話は本題に移りますが、そんな誇るべき日本のお笑いの中心は良くも悪くも吉本興業でしょう。
今のバラエティを見たら、吉本芸人の比率の多いこと。
バラエティだけでなく、ワイドショーのコメンテーターや俳優業にまで進出しており、その勢いは身を見張るものがあります。
そんな吉本興業が大揺れです。
最初に宮迫氏が嘘をついてしまったのが、全ての元凶ではありますが、その後の対応の悪さも含めて、イメージ的には最悪。
下手したら倒産だってあり得るほどです。
まず高い授業料を摂取してお笑い学校NSCに入学させ、卒業したらレベルの高さ関係なく、とりあえず吉本芸人にはなれるわけです。
これで売れれば吉本が多くを分捕り、売れなかったらバイト生活が続き、吉本は痛くも痒くもありません。
これで6000人もいると言われている吉本芸人を生み出したわけですが、大崎会長は芸人たちを家族と言っていますが、6000人全てを家族のように扱うのは無理な話。
確かに大崎会長を擁護している松本人志氏以外上のメンバーは家族だと思っているのかもしれませんが、NSCを卒業して鳴かず飛ばずな人は家族だと思えるでしょうか。
あまりにも会社の規模が大きくなりすぎてもう家族経営は無理なのではないでしょうか。
やはり吉本がちゃんとした国の事業も扱える会社になるために、きちんと契約書を作成して、契約する芸人には、バイトしなくても生活できるくらいの最低保証はすべきです。
そのためには島田紳助氏が言っていたM-1などで3回戦まで突破したら芸人として認めるくらいのふるい落としは酷かもしれませんがやるべきです。
それにしても、今回の吉本騒動で光を見たのは、芸人たちの絆の強さ。
これを一般企業で考えてみてください。
不祥事を起こした社員に対して、同僚や先輩社員がここまでフォローをして助けてあげようと躍起に上層部に掛け合ってくれている、こんな会社がどこにあるのでしょうか。
宮迫氏が一般会社員だったら、自分も巻き込まれたくないと連絡すらしてこない同僚がほとんどな気がします。
特にかわいそうなのが、先輩の言うことに従っていただけで、嘘を付いていない福ちゃんやくまだまさし氏などの若手芸人。(年齢的には若手ではありませんが)
なんでも、ロンブー淳氏は米俵を、小籔千豊氏は高級素麺を贈ったと報じられていますが、吉本がこんなにも酷い企業なのに、それでも吉本に芸人が集まり辞めないのは、こんなにもお笑いを愛していて、後輩想いの先輩が大勢いるから、そのまま吉本を愛する結果になっているのだと思います。
吉本の大御所芸人たちの優しさと包容力がよく分かる結果になったのは、今回の騒動の唯一無二の良かった点ではないかと思います。